2011-11-04

ソレイユ 地中海料理とワインを楽しむ会

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 まず、はじめに、ソレイユ(Soleil)に感謝!
 オーナーシェフ河村さんと、ソムリエの友次(ともつぎ)さん、ありがとうございました!


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nakamura wineのコピー

 このパーティーは、店の企画ではなくて、こちらから店にお願いしました。人を10人くらい集めるし、やってもらえるやろか?
 河村シェフ、友次ソムリエともに即断で快諾してくれました。


 発端は、ある医院のワイン大好き奥様です。弥栄町の縄屋で開催された「鮨と日本酒」みたいなことをワインでやれないかしらという話になりました。つまり、料理ごとに異なるワインを飲みながら、食べ物と酒の相性を楽しむという企画です。


 やれます、やれます、やりましょう!
 私はすぐに案内状をこしらえました。


DSC00397 こういうとき、この業界は便利です。有志を募れば10人くらいすぐに集まります。人数を確保しないことには、料理ごとに違うワインを空にしていくなんて無理ですが、そのいちばんだいじな要素をすぐにクリアできます。


 集まりましたのは、男性8名、女性3名。仕事を抜きにしたにわかグルメの会ですから、院長先生ご夫妻も会費12000円を払います。




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 こちらがソムリエの友次さん。友次さんから、それぞれのワインについて、ワンポイントうんちくも披露してもらいます。


 1本750mlしか入ってないワインを11人に公平に注ぎ分けるとなりますと、ひとり67.5mlずつ。普段の半分くらいになります。俺よりあいつのほうが多いとかいわれないように、神経を使って注ぎます。ちょっとずつ、ちょっとずつ。

 この日、飲んだワイン9種類の空瓶です。午後7時から始まって、ほぼ11時まで。料理、ワイン、会話。盛り上がりました。






乾杯ーーー飲みやすいスペインの泡で Parxet Cava Brut Reserva(白・発泡) スペイン


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 乾杯にはとても飲みやすいスパークリングワイン。スペイン、バルセロナ地方近くのティアーナで作られた発泡酒、パルシェ・カヴァ・ブリュット・レゼルヴァです。


 ソムリエによりますと、長期熟成型で、コクとまろやさかさが特徴だそうです。インターネット通販でみますと1700円くらいです。ロイヤルオークホテルですと、なんと7800円!


 「カンパーイ!」と声を上げてみんながグラスを合わせますと、あちこちでチンチンという音がします。イタリア語ではこの音の通りに「Cin Cin(チンチン)」と言いながら乾杯することもあると聞きました。それを知っている女性ひとりが、つい「チンチン」と言ってしまいまして、「乾杯の意味で言う場合は、べつに、そういうのを言ってもいいんですよ」と自己フォローしておりました。


女性陣3人のうちの2人は、山本リンダさんと檀れいさん



もう1人の女性は東ちづるさん


 「ドン・ペリと間違えそうや」という者もおりまして、「ドン・ペリ飲んだこともないのにどないして間違えるねん」とツッコまれていました。




前菜盛り合わせーーー泡あり、泡なし Parxet Blanc de Pacs 2009年 (白) スペイン 


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 ソレイユの前菜は私の大好物です。ランチでも全種類盛り合わせを注文するくらいです。この夜は、イカとインゲンマメのおいしさが印象に残りました。イカはシロイカ(ケンサキイカ)です。シロイカですとイカスミパスタもおいしくできるそうです。





 ワインは、えらいかっこいいボトルです。大きく書かれた「B」のアルファベットは「Blanc(白)」の略記。ラベル買いしてしまいそうな一本。


 ソムリエによりますと、さっきのカヴァと同じスペインのParxetワイナリー製です。
 パレリャーダ、チャレッロ、マカベオという3種類のブドウがブレンドされていますが、このブレンドはそもそも発泡酒向けだそうです。「さっきのカヴァと同じブドウですが、発泡酒にしなかったときの違いがわかってもらえますか?」とソムリエからみんなに質問が投げかけられました。


 わかるでぇ、炭酸が入っとるか入っとらんかやろ。
 先述ドン・ペリと間違えそうやのオッチャンがそう答えました。


 女性陣からは、こちらのほうが果実味がよく出ているのかしら?とのコメントでした。





いわばシャンパンの地酒ーーーPatrice Marc Blanc Brut Millesime 2005年  (シャンパン) フランス


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 前菜をみんながたいらげて食卓にはソレイユ自家製のパンだけが残ったとき、ここで一発目のサプライズが入りました。
 このシャンパンです。パトリス・マルク・ブラン・ブリュット・ミレジム2005年。パトリス・マルクのシャンパンは日本にまだそれほど入ってきていないといいます。これはほんとうにおいしかった。この夜の9種類のなか、このシャンパンにみんなの人気が集中しました。


 いまインターネットで調べましたら、シャルドネ50%、ピノノワール25%、ピノムニエ25%というブレンド比率だそうです。ピノムニエというブドウには独特の果実味があるのだと書いてあります。


DSC00427 ソムリエのうんちくをそのままレポートします。


「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡ワインがシャンパンです。


 シャンパーニュ地方は寒冷な気候ですので、ブドウの収穫量がその年の自然条件によって左右されます。
 収穫量の不足を補うために、いろいろな年に収穫されたブドウを少しずつブレンドしてシャンパンにしますが、たまたま収穫量の多かった当たり年には、その年のブドウだけでシャンパンを作ることがあります。


DSC00425 これから飲んでいただきますのは、近年の当たり年だった2005年のブドウだけで作ったものです。リンゴのような果実味がわかっていただけると思います。


 ここのワイナリーは家族経営で成り立っています。小さな醸造元です。手作業です。
 シャンパンの大きな醸造会社ですと、たとえば、みなさんがいちばんよくご存知なのはモエ・エ・シャンドンだと思いますが、ブドウ生産者からブドウを買い付けてきます。けれども、ここのワイナリーはすべて自家栽培のブドウだけでワインを作ります。


 なにからなにまで手作業でやっていまして、たとえば、定期的にオリを攪拌するのも、オートメ化された機械任せではなくて、昔ながらのテコの原理を利用した木製用具でやっています。
 手作りでしか出せない力強さ、素朴さ、果実味をぜひ試してください」。


 基本に返って自分もコツコツ仕事をしようと、みんなそう思ったんじゃないでしょうか。それくらいに丁寧で濃厚な味でした。


 誰かが、「2005年のワインは珍しいの?」と質問しました。ソムリエからは、「ブドウの収穫量が多い年でしたから、作られたワインの量も多くて、見つけやすい年だと思います。見つけやすいけれど値段は高めですね」とのことでした。


 このボトルに2005年の表記ラベルがなかったのはどういった理由なのか、今度ソレイユに尋ねてみます。ミレジムなら、普通はエチケットのすぐ上にビンテージ表記があるものなんですが。



ソレイユ特製パスタ鍋ーーー和のテイストにロゼワイン Chateau de L’Aumerade Cuvee Marie-Christine 2010年(ロゼ)フランス


 ここで河村シェフと友次ソムリエが、ちょっとしたアソビ心の組み合わせ。ソレイユ特製パスタ鍋とプロヴァンス地方のロゼワインです。プロヴァンス地方では重い味わいの赤ワインはほとんど飲まれなくて、もっぱらロゼワインが好まれるそうです。


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 ソレイユのパスタ鍋は、豚シャブにパスタを入れたようなひと品。味付けは和そのもの。豚は丹波ブタ。ポン酢とオリーブオイルをミックスしたタレで食べます。


 ロゼワインはシャトー・ロムラード・キュベ・マリー・クリスティーヌという長い名前ですが、インターネット通販では1200円から1400円のお手軽なワイン。家庭でもこういう風に気楽にワインを飲んでみてくださいという店のメッセージが含まれています。ポン酢にオリーブオイルを加えるだけでワインとの相性が一気にアップするといいます。


 ソムリエによりますと、フランスで消費されるワインの60%までがロゼだそうです。どのような料理にも合わせやすいことに加えて、赤ワインを飲んだときのようなあと口が人気の理由だそうです。ロゼは和食にも合いやすいワインなので家庭ではとくにオススメですとのことでした。



鯛のポアレーーー魚介にはシシリア島産 Cusumano Angimbe (白) ????年 イタリア


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 さあ、このあたりになってきますと、私自身の記憶が怪しい。弱いくせに「うまい、うまい」で飲んできまして、ここから先、何がどうだったか、きちんと思い出せないのです。


DSC00457 とにかく、ソースがめちゃおいしくてですねえ、この鯛のポアレのときにシシリア島の白ワインを飲んだと思います。このソースは、アイオリソースとブイヤベースでして、これだけ完成度の高いソースは大阪・神戸・京都を含めてまず他にないと店が自信をもっています。


 ソムリエの話をメモしてあります。


 ワイン名はクズマーノ・アンジンベ。ブドウはインソリア70%とシャルドネ30%のブレンドです。シシリア島は魚介類の豊富ということで、魚介の濃厚なソースにはシシリア産のワインがよく合うのだそうです。
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 このワインの特筆事項がキャップです。コルクではありませんで、昔の薬瓶のようなガラス製。ヴィノ・ロック・グラス・オン・グラスという栓です。開けやすいばかりか、飲み残したときにも便利そうです。機能美とでもいうのでしょうか、私は見かけにも惚れました。




豚ラルドのお好み焼き風ピザーーーお好み焼きにも赤ワインを IIIB & Auromon Rouge2010年 (赤) フランス



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 ピザに合わせてフルボディーの赤ワインが登場しました。ピザの名前をメモし忘れたのが残念です。鹿児島豚のラルドを使ってお好み焼き風に仕上げたピザだとのことでした。なんとブルドッグ・ソースまでかけてあります。


 トワベー・エ・オウモン・ルージュは、ラングドッグ・ルーション地方の産です。ブドウはメルローの比率が8割。この旨安ワインにもみんなの好感が集まりました。インターネット通販で1600円くらいのワインです。


 メルローというブドウは角のなさが特徴だそうです。そして、温暖な地方のメルローほどマイルドだそうです。その点では、ランドドッグ地方も暖かくて、イチゴやキャンディーの味を感じさせる甘さがあるとのことでした。


 このピザと赤ワインの組み合わせは、店が用意したサプライズのひとつです。お好み焼きを食べるときでも、選び方によってはフルボディーの赤ワインが合うことを知って欲しかったそうです。


 ソレイユはピザをこの窯で焼きます。中では薪が赤々と燃えています。あっという間に焼き上がります。重さ2トン。クレーンで吊り下げてキッチンに収めたそうです。


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丹波牛のシチュー ーーーアニマル系の匂いが肉に合う Ermita de San Lorenzo Gran Reserva1996年 (赤) スペイン


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 だいぶおなかも膨れ、お酒もまわってきました。みんなのトークも絶好調。サウナで見知らぬホモに狙われた話など、下ネタも飛び出します。
 右の写真の独身男性二人は女性陣にいびられっぱなし。
 とくに、遠距離恋愛中の彼女との結婚に踏み切れないキツネ君は、ほろ酔い加減の女性陣からかっこうの攻撃対象にされています。
 タヌキ君はやまとなでしこのような女性と結婚したいそうですが、相手を見つけるチャンスがまったくないと嘆いていました。


 ディナーコースも佳境に入り、今夜の山場ともいうべき組み合わせ。牛肉シチューに、どっしりと重い赤ワイン。エルミタ・デ・サン・ロレンゾ・グラン・レゼルヴァ1996年。


 ブドウはガルナッチャ70%とカベルネ・ソーヴィニオン30%です。ただ、これだけ本格的なワインで1996年だというのに、スペイン産のコスト・パフォーマンスは抜群。インターネット通販を調べますと、1700円くらいで買えてしまいます。


DSC00467 このワインのグラスを鼻に近づけますと、皮のような香りが顕著です。ソムリエによりますと、ヨーロッパの人間は、我々日本人と違って、獣系の匂いに触れるとおいしいものへの連想が高まるそうです。そのため、動物っぽい匂いのワインと肉の組み合わせが一般的なのだそうです。
 けれども、このワインはキンピラゴボウにも合いますから試してみてくださいとのアドバイスもありました。



デキャンタージュで味開花ーーーDomaine Duseigneur Par Philippe Faure Brac2005年 (赤) フランス





 いまと同じワインをもう一本飲まれますか?それとも違うワインになさいますか?
 ソムリエが尋ねてきました。「違うのがいい」と何人かが答えました。違うのにしてよかった。出てきたワインの値段をいま調べましたら、さっきのスペイン産赤の2倍か3倍です。コート・デュ ローヌ南部、ローヌ川沿いにあるドメーヌ・デュセニエの赤ワイン。グルナッシュ60%とシラー40%。


 違うのにしたいという答を聞いたソムリエは、ワインセラーから急遽これを持ち出してきました。デキャンタージュを始めながら、「事前に準備しておけばここまでやらなくていいんですが、いま出してきたばかりですから」ということだそうです。


 神崎雫みたいにもっと高いところからワインを落としてくれと頼みましたら、そりゃリスク大きすぎますと言っていました。理屈でいけばあれがいいに決まってますけどね、とのこと。


 今回のように出す赤ワインがあらかじめ決まっているときには、2日前にセラーから冷蔵庫に移し、1日前から温度管理(17度~18度)に入るそうです。家で飲まれる場合も、安いワインだって前日から栓を抜いておくとおいしくなりますし、逆に次の日がおいしくなることもありますし、とのことでした。



ピザ クアトロ・フロマッジョーーーチーズと日本酒 大鬼(ハクレイ酒造)


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 デザート前に、最後のサプライズです。ワインの会に日本酒。しかもピザに日本酒。河村シェフはハクレイ酒造の社長と親交があります。日本酒にも詳しいシェフです。
 意外な取り合わせですがとソムリエ。実は、チーズと日本酒は相性がいいんです。米の透明感、香ばしさがチーズで生きますし、チーズの甘さが日本酒で引き出されます。


 クアトロ・フロマッジョは、4種類のチーズをのせて焼き上げたピザです。日本酒との組み合わせは、嬉しいサプライズでした。ソムリエが言うとおりに、チーズがおいしくなり日本酒がおいしくなります。うちでチーズを食べるときの参考にしてもらえたら嬉しいと河村シェフが言います。





デザートーーーイチジクにはイチジク Pellegrino Marsala Superiore Garibaldi Dolce (マルサラ酒) イタリア






 デザートにはマルサラ酒。マルサラとはシシリー島の地名です。
 マルサラ酒は、酒精強化ワインに区分されるそうです。熟成段階でブランデーを添加したワインです。

 ブランデー添加で酵母は死に、その時点でワインの熟成が止まります。そして、糖の分解が止まれば、ブドウの甘さが残ります。


 元は、ワイン輸送に日数のかかった時代の防腐対策だったそうです。ブランデーを添加してありますから、アルコール度数が18度と高めです。


 デザートのなかには石窯で軽く熱を加えたイチジクがありました。マルサラ酒の香りとイチジクの香りには共通性があることから、この組み合わせになりました。



河村シェフ登場





 ワイン・パーティーが滞りなく終わりまして、オーナーシェフ河村さんがみんなの前に現れました。


 今夜のようにワインと料理の相性を上げようとすれば、順番が大切で、順番でいかないとおいしくないんですとのことでした。そんななかに、家でもすぐに役立ててもらえるようなアイデアをサプライズで挟んでみましたと、河村さんは話していました。


 河村さんに「どこで修業なさったんですか」と質問したら、「永平寺です」という答が返ってきます。もちろん、それは嘘で、大阪のヒルトンホテルに長く勤めていました。


 先日、河村さんと話をしたときに、地元のお客さんに来てもらいたいという河村さんの熱い思いを耳にしました。


 今夜の11人のうち、7人がソレイユをよく知りませんでした。その7人がソレイユファンになってくれることを祈ります。


 こんな楽しいパーティーならまた2回目もやりたいということになりました。河村シェフと友次ソムリエに頑張ってもらったおかげです。


 本当にありがとうございました。
 ソレイユとこの夜の楽しい仲間たちに、もう一度、乾杯!

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