2011-11-24

丹後らしい土産とは?:丹後あじわいの郷「丹後・食の王国」②丹後おみやげ品開発支援事業

 丹後味わいの郷 丹後・食の王国


 談志が死んだ。どっちから読んでも「だんしがしんだ」。


 という話は別にしまして、「丹後おみやげ品開発支援事業」というプロジェクトが進行中です。

 どういうプロジェクトかといいますと・・・


①地産地消型:丹後産の食材を使って丹後で加工する
②行政主導型:京都府の予算を使って丹後広域観光振興局が実施
③新商品開発型:丹後らしいおみやげ品を新たに作り出す
④コンテスト型:審査に勝ち残った新商品が開発補助金を獲得
⑤一般参加型:最終選考のために外部委員会を設置。外部委員会は、一般市民の試食審査結果も参考にしながら、開発支援に値するおみやげ品を選出。

DSC01066 この④ですね。④の一般市民の試食審査というのが、11月20日に行われました。この日、丹後あじわいの郷では「丹後・食の王国」が開催されていましたので、その来場者に試食審査会への参加が呼びかけられて、先着20名が審査員になりました。私も、試食審査に参加してみました。
 (呼びかけたといっても、こんな看板だけです。案内不足のために、審査に参加したかった女性が先着に漏れてしまいました。そのいっぽうで、親についてきた子供がなりゆきで審査員になるなどもあり、京丹後市による運営のまずさも目立ちました)





 さて、試食審査の対象は17品目。こんな新商品たちです。


IMG
 ざっと名前を見て、いかがですか?もっと端的なネーミングがいいのに。私はそう思いました。
 まあ、登録商標の届けも済まないうちに素敵な商品名をバラしてしまえないという事情があるのかもしれません。いまは試作品段階でのコンペティションですからね。
 これら試作品がテーブルに並んでいます。審査員はテーブルを回りながらサンプルを口にします。味や食材の面、そして価格の面も含めて、丹後のおみやげ品にふさわしいかどうかを考えます。
 好ましいところ、改善すべきところのコメントも書き込んでくれとの要請を受けています。










 他の審査員の意見を聞くと、12番「牧場のプリン(抹茶)」と1番「カネマスの一刻干し」の評判がよさそうでした。
 私は、逆に、このふたつはいかがなもんかと思っていました。


 「カネマスの一刻干し」は新商品を開発したというよりも、既存品の商品名をいじっただけに近い。「カネマスの一夜干し」という干物をすでに売ってますからね。「丹後おみやげ品開発支援事業取扱要綱」では、「開発又は既存加工食品の改良(パッケージや商品名のみの改良は対象外)であること」と明文化されています。この規定に反します。
 それに、薄塩仕立ての一夜干しでは、変質・腐敗のリスクも多くておみやげに持ち帰りにくいでしょう。保存がきくという干物の利点をあえて殺した干物ですから、逆におみやげ品としての立場をあきらめるほうが商品特性を生かすことになりそうです。


DSC01135 「牧場のプリン(抹茶)」はおいしくて、値段が210円と安くて、私も一度は高い点をつけました。でも、最終的に消しゴムで消しました。丹後とのつながりが薄いと思ったからです。これに類似したプリンはコンビニでも買えます。「丹後へ旅行してきました」のメッセージ性が小さい。
 まあ、これはなにも、「牧場のプリン(抹茶)」だけではありませんでした。丹後らしさとかおみやげ品とか、そこのコンセプトに合致しにくい試作品が他にもありました。


DSC01138 そのひとつが10番「京都 丹後からの新食感・新提案 わさびで食べる醤油アイス」。これがおいしいアイスクリームでして、ぜひまた食べたいと思いました。でも、アイスクリームではおみやげになりにくい。運びにくい。融けてしまう。加えて、アイスクリームには丹後みやげとしてのメッセージ性が小さい。しかも、1個420円という値段ですから、これを冷凍の宅急便にしたらおみやげのコストが嵩みすぎます。


 もう一例が4番「夢丹後黒にんにく」。珍しくておもしろいのですが、200g3000円という値段です。はじめからおみやげ品としての人気をあきらめているように見えます。
 10番と4番は、おみやげというより、インターネット通販向け新商品でしょうね。これを丹後のみやげにするのは、天橋立を世界遺産にするより難しい。





DSC01139 DSC01140



 そんなこんなで試食を重ねるうちに、丹後らしさを意識した出品者に高い点をつけたくなってきました。丹後を売り込む意図をこめた商品のほうが開発補助金により値するのではないかという気持ちになってきました。たとえば、13番「鳴き砂の星」ですとか、14番「大納言かすてら 古代のめぐみ」ですとかは、丹後おみやげ品開発支援事業の意図によく合った商品だと思いました(13番は「鳴き砂の星」より「星の鳴き砂」にしたほうがロマンチックじゃないでしょうか)


DSC01149 

DSC01150

  ただ、まあ、13番や14番の出品者には失礼なのですが、味や食感がもっとキャッチーでなくてはならないと思いました。キャッチーとは、土産物店で試食した旅行客の即断を促す魅力です。

 でも、これはおみやげ品の開発支援事業です。13番も14番も、行政からの開発補助金でさらに改善を重ねて魅力を増せばいいわけです。丹後みやげにふさわしい新商品開発がこの事業の目的ですから、13番や14番のように丹後らしさを表現できることも、審査基準として重要な要素です。


 「八橋をおみやげにもらったら京都だとすぐわかるでしょう。丹後にもそういうおみやげが欲しいんです」と、試食審査会場を切り盛りする主催者側スタッフが話していました。
 その趣旨からいきますと、13番や14番が最終選考で選ばれそうな気がします。一般市民の試食審査では「カネマスの一刻干し」と「牧場のプリン(抹茶)」が好まれていました。最終選考は有識者が受け持ちます。おみやげ品開発支援事業の趣旨をよくわきまえた人たちだと思いますし、一般市民の評価とはまったく異なるかもしれません。



 今回は新商品開発でした。私は、丹後おみやげ品開発支援事業の進め方に改善が必要だと思いました。「丹後らしいおみやげ品をまあ好きに作ってみてください」といった丸投げではアイデアやノウハウがばらけるばかりです。いいものが生まれるかどうかを偶然に頼りすぎです。会社でもこういう所長の営業所は成績がよくありません。
 行政主導で知恵や技術を一方向に集結させたほうがいいものを生み出しやすいと思いました。まずは行政によるマーケティングが必須です。マーケッティングの結果を吟味して、購買ターゲットを絞り込み、商品像をもっと具体的に描いた上で新商品開発の方向性をはっきりさせて、それをコンペティションにつなげるのが妥当ではないでしょうか。


 話は違いますが、既存品では、風美堂の「ちりめん羊羹」と竹中缶詰の「Hasidateオイルサーディン」のふたつが実にいいお土産だと思っています。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿