2011-07-31

Bio Rabbit(ビオラビット) すごいシェフとはつゆしらず

bio rabbit
 夕焼けを楽しみに出かけたビオラビット。しかし、天気ばかりはどうしようもありませんでした。店のホームページにあるこの夕陽を一度は見たいものです。
 と書くつもりでいました。しかし、ふと気づきました。これは日の出ではなかろうか?地図で確かめてみました。この写真の方角、店の東側でした。日の出以外のなにものでもない。
 いやいや、曇っていて逆に助かった。夕焼けのきれいなレストランを見つけましたとお客さんを誘いました。もし晴れていたらえらい恥をかくとこでした。



 写真は夜の店内。9時頃。右手に見えるのは酔っ払いのオヤジ軍団。服装はだらしないし、大声でうるさいし、ビールばっかり飲むし。海のシーズンですからこういう客も入ってきます。生ビールだけで勘定がどんどん跳ね上がっていく点では上客です。
 しかし、もちろん、Bio Rabbitの本業は居酒屋ではありません。オーナーである対馬夫妻の方針はホームページにこう書いてあります。
当店は、地元丹後の自然栽培の野菜や果物、近海で獲れた魚介類など安全な食材を使用し心を込め手作りの料理を提供するジャンルを超えたオーガニックレストランです。
 自分の主張を味で表現する。すごい努力と才能ですよね。能書きだけをたれるのなら簡単です。対馬さんはそうじゃありません。客をまず舌で納得させる。そして素材のすばらしさを説明する。この夜も、対馬流のコース料理のおかげでお客さんたちに満足していただけました。「素材の味がよくわかる。素材重視がよくわかる」といずれのお客さんもおっしゃいました。では、この日のコースを動画にて。
 あ、そうだ、コースの値段は6000円。おつまみで注文したスモークチーズ料理2皿も映っていますがこれはコース外です。支払い合計はひとり7000~7500円でした。





 「料理天国」というテレビ番組を覚えておられる方がどれくらいおられるでしょうか。1975年から1992年までTBS系列で放送されていました。少年時代の対馬シェフは、毎週土曜18時からの「料理天国」をとても楽しみにしていました。とくに西洋料理担当の小川忠彦先生(辻調理師専門学校)に心酔しました。
 さすがYoutube。探したら「料理天国」の動画がちゃんとアップされていたではありませんか。




 小川忠彦シェフに憧れ一念発起した対馬少年は料理人の道を目指し始めます。少年を突き動かしたもうひとつの動機はお母さん。お母さんにおいしい料理を食べさせたいの気持ちでした。そんな昔くさい親孝行話が実在するのかと疑いの向きもあるでしょう。対馬さんはこう言います。「私は北海道生まれです。あの頃の北海道には、ドラマ『北の国から』のような現実がどこにでもありました」。青森県では対馬さんという人とたくさん出会いましたが、こちらの対馬さんは道産子です。


 対馬さんはやがて大阪あべの辻調理師専門学校に入学します。少年時代にあこがれたあの小川忠彦先生の指導を直に受けるに至りました。ものすごく感動した。対馬さんはそう言います。

 実は、辻調から現在までの経歴をよく聞けてなくてごめんなさい。とにかく宮津ロイヤルホテルに勤務し、宮津市に住み始めます。宮津ロイヤルホテルをやめるときには洋食部門料理長を務めていました。
 この時代の対馬さんの活躍ぶりが飯尾醸造のブログ「酢を作るといふ仕事」に書かれています。2005年です。宮津ロイヤルホテルの対馬則昭氏がエスコフィエ協会のディシプル章を授与されたというニュース。
(おさちゅんブログにも飯尾醸造の記事があります→http://osachun.blogspot.com/2011/01/blog-post_23.html)
 エスコフィエ協会というのは、フランス料理のプロが集まる組織。ディシプルへの昇格には以下の条件が必要とされます。
a.アミ会員(一般会員のことらしい)歴3年以上
b.年齢40歳以上
c.協会活動への参加・協力
d.昇格授与式参加等
 解説によってはフランス料理の偉大なる指導者エスコフィエの弟子(ディシプル)に匹敵すると認められたシェフだとも書いてあります。毎年100人以上のディシプル会員が誕生していますので年功序列みたいな側面も否めないのでしょうが、多くのフランス料理シェフが到達を望むラインでもある様子です。ディシプル章のたすきをかけて撮影した顔写真は葬式のときにも使えるというくらいに名誉なことだそうです。
 いや~、そんなすごいシェフとは知らないでめちゃ気楽にしゃべってました。そんなすごいシェフに弁当作らしといて、もらいに行くのが2時間も遅れたことあるし。気さくなおさちゅんには困ったもんです。
 けど、負けず劣らずが昨夜の酔っ払いオヤジ軍団ですよ。対馬さんが居酒屋のアルバイトみたいに生ビール運んでましたからねえ。

 で、対馬さん、宮津ロイヤルホテルの洋食部門料理長まで昇りつめながらもまたもや一念発起。今度は海を渡ります。3年前のことです。海を渡ったといいましても、すぐそこ。ロイヤルホテルの田井からこっち側の日置に来ただけのことなんですが、日置のマリントピアでついにBio Rabbitを開店したわけですねえ。

 ホームページで対馬さんはこのようにも言っています。
フレンチでスタートした店ですが、本当のこだわりはそこではなくこの地に生きこの地と人に育てられた恩返しを少しずつすることそれはお客様が安心して美味しい料理を堪能できること・・・
食物アレルギーを持つ方や、障害者施設の方も利用できるレストラン ボランティア活動を含む音楽イベントや丹後のこだわりの生産者との交流の場をつくること・・・
丹後のすばらしい食材を使い独自のオリジナル商品を提供すること・・・
 対馬さんが繰り返し繰り返し口にするのは、丹後の作り手(生産者)の情熱です。人に惚れた、丹後に惚れた。そういう心境をずっと持ち続けてるんでしょうねえ。

DSC08227 「地元のお客さんにもっと来ていただきたい」と対馬さんは言います。私もそうなって欲しいと思います。よそ者の対馬さんだから余計に丹後の魅力がよく見えるのではないかと思います。丹後ディスカバリーとはまさにこのこと。津島流でプロデュースされた丹後の魅力にもぜひ触れていただきたいと願ってやみません。

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