金時 ばってら |
金時 きつねうどん |
この日は、「足立屋音衛門」が客の間で話題になっていた。
足立屋音衛門といえばインターネット通販のシンデレラストーリーだが、元は福知山市のつぶれかけた洋菓子店だった。
地元相手の商売がまったくだめで、十年ほど前には廃業の一歩か二歩手前まで追い込まれていた。地元の噂によれば、明日の食事代を捻出するのも難しいくらいの経営難だったという。
そこで、音衛門の大英断。楽天のインターネット通販に賭けた。100万円くらいを投資したらしいと、やはり地元の噂が言う。これが大きな転機となった。おいしい洋菓子としてインターネットショッピングで人気を博し、いまや梅田の阪急、銀座の松屋にも実店舗を構えるまでに経営は回復、いや、回復どころか発展を遂げた。
音衛門によって改修中の旧松村家(北近畿経済新聞から) |
音衛門は1万円のロールケーキを売っている。堂島ロールでも1200円なのに音衛門のロールケーキを1万円で買う人間がいるのか?インターネットの客は買うけど地元では売れない。
金時の客たちはそんな話をしていた。全国的にはあれだけの支持を得る音衛門が地元ではこの程度の言われ方か・・・
しかし、ロールケーキが1万円もするはずがない。ほんとうにロールケーキが1万円もするのかと、さっき音衛門のホームページを見てみた。
正確には栗のテリーヌだった。丹波栗、イタリアの栗、厳選バター、厳選和三盆など、原材料に妥協なしだと説明されていた。
そうか、テリーヌとロールケーキの区別もつかない人もいるのか。そりゃ音衛門も地元で苦労したはずだ。まあ、そのとき金時にいた客の年齢を考えれば、テリーヌとロールケーキ、バウムクーヘンとトイレットペーパーの区別がつかなくてもしかたない。
冗談はさておき、金時の客どうしの話題は、足立音衛門を揶揄することが目的ではなかったと思える。真意はそんな浮いた暮らしをしていられないということだと思う。たぶん、その生活観との食い違いによって音衛門は地元で苦戦したのだろう。
音衛門のネームバリュー上昇とともに地元の売り上げも大きく増大した。ただし、ネームバリューが上がってお使い物に丁度よくなったという実態もある。音衛門も音衛門だ。買えるもんなら買ってみろみたいな値段をつけている。
開店当日の新店舗、夕方5時頃に前を通りかかった。予想に反して駐車場は空。警備員が暇そうに立っていた。これがパチンコ屋の開店ならばこんなもんじゃすまない。
う~ん、実に福知山だぁ~。
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