「丹波茶屋ゆらり」以来、すっかりゆらりファンになってしまった。
綾部市内中心部の広小路には、また趣の違った「ゆらり」があるという。
「フレンチ懐石ゆらり」という名前のこの店は、廃院となって久しい医院に手を加えた建物で、内外装が立派だと聞いた。オーナーのつながりでサントリーグルメガイドにも掲載されているという話だ。
しばらく綾部の仕事から離れている私は、見覚えのある病院と医院の位置関係を頼りに出かけた。
へえ、なるほど、よく考えたなあ。これがゆらりを外から見たときの第一印象だ。狭い道が交差する角にひときわ大きくでんと構えながらも町の風景から決して浮くことがない。それどころか、その界隈の空気を魅力的にしている。この大きな日本建築がもしここに空き家で建っていたとしたら、逆に町の衰退の象徴に見えていたに違いない。
道を挟んですぐ隣には「花一輪」。斜め向かいには10月24日オープン予定のカフェ・ギャラリー。正面向かいに「古民芸はむろ」。自然と人目を引く光景だ。「花一輪エリア」とか「花一輪周辺」といった呼び方をすることもあるらしい。
以前から綾部の町が好きだ。 小路が入り組む町並みにいろいろな商売がちょっとずつ並んでいる。この「ちょっとずつ」というのがいいところだ。それぞれが生きている。そして、古い人たちが歩いている。立ち寄りたい寺が散在するのも綾部の特色だ。
福知山には申し訳ないが、綾部のような情緒が福知山にも欲しいなと思う。
食べればおいしくて内装のセンスがいい店もなぜか周りの景色とちぐはぐ---こういう組み合わせが福知山には多い。上下1280円のジャージセットの隣でスーツを買わなくてはならないようなフラストレーションがある。綾部の小路を歩けば、人が暮らす界隈に商売が調和していて、たたずまいにわざとらしさがない。
「丹波茶屋ゆらり」の接客のよさが「フレンチ懐石ゆらり」でも健在だった。気持ちいい空間ということなのか、女性客の二人連れ、三人連れがランチを楽しんでいた。共栄中学校の運動会で知り合った3年1組ご父兄のおひとりとも偶然に出会った。
食事を終えた客を早く帰れとばかりにせっつかないのも双方の「ゆらり」に共通の美点だ。
【写真はランチタイムメニューの橘6品】
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